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おすすめの山岳図書 ~小説編 その2

還るべき場所 笹本稜平 ★★★

世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。(BOOKデータベースより)




久しぶりにずっしりと心に響く山岳小説を読んだ気がしました。

この重量感は、テーマとして登山を扱ってはいるが、その底流には登山を人生のメタファーとして、生き方や人生の指針がうまく語られているからでしょう。

人生の中で出会う不安、挫折、喪失、苦しみ、そしてそれを乗り越えた時の喜び、幸福…
困難な登山はそれ自体のプロセスが人生の縮図として当てはまります。


笹本氏は公募登山に参加した会社経営者の神津を自身の代弁者として、人生の指針となる数々の名言を語らせています。

強力なリーダーシップと発想で会社を育てあげた剛腕経営者に語らせることで、ともすれば上滑りになりがちな人生訓も驚くほど素直に読者に伝わります。

神津の存在により単なる山岳小説に留まらない重みを与えることに成功しています。

といっても物語の中心はヒマラヤ登山で、その中の人間関係やトラブル、遭難といった数々の難題に立ち向かう姿がリアルに描かれ、息をもつかせぬ展開はさすが笹本氏ですね。

読んで損のないおすすめの一冊です。




※笹本氏はクライミングの経験はあるのかな?
 登攀シーンなど、中々リアルに描写されており関心するのですが、
 5.11aが国内最高の難易度のルートであったり、たまにおかしな描写があります。
 かなり綿密に取材したのだろうけど、恐らく、クライミング経験はないんでしょうね。

※プロットは別として、物語の着想に
   ・山野井夫妻のガチュンカン遭難  山野井泰史「垂直の記憶」、沢木耕太郎「凍」
   ・ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツのアンデス シウラグランデ西壁の遭難 「死のクレバス」
   ・エベレスト公募登山の悲劇を描いたジョン・クラカワーの「空へ」
 などのノンフィクションが大きく影響を与えているのは間違いないと思います。

※笹本氏の山岳小説では「天空への回廊」も大変面白いのですが、良くも悪くもハリウッドのスペクタクル映画的ですね。つまり、クリフハンガーやダイハード的な圧倒的面白さはあるけど、それ以上ではないかな。




還るべき場所 (文春文庫)還るべき場所 (文春文庫)
(2011/06/10)
笹本 稜平

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