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おすすめの山岳図書 ノンフィクション編 その3

今回からの「山岳図書 ノンフィクション編」では山野井泰史関連の3書籍を順次、紹介します。

山野井泰史は世界的にも屈指の尖鋭的なアルパインクライマーです。
TVでも情熱大陸やNHKのドキュメンタリー「白夜の大岩壁」などの放送でご存じの方も多いと思います。

山野井のクライマーとしての尖鋭さは、より困難な対象に独創的なルートを創造し、基本的に単独でチャレンジし、達成してきたことにあります。

山野井のクライミングで最初に衝撃を受けたのは、今は廃刊になった「岩と雪」131号(1988年12月)に掲載された手記「極限のソロ バフィン島トール西壁単独行」を読んだ時でした。

ルートの最終ピッチで進退が極まり、パニックに陥りかけた自分を落ち着かせるために壁に顔を打ち付け、神仏に「殺さないでくれ!」と祈る姿に戦慄を覚えました。
何故そこまでして困難なソロクライミングに挑むのか…これはいつか死ぬだろうな…と。

そういう意味で「8000m峰コレクター」や「五(七)大陸最高峰コレクター」とは一線を画するクライマーです。

2002年 ヒマラヤのギャチュン・カン(7,952m)北壁登頂後の遭難で手足10本の指を失う重症を負ってからも未だ挑戦的クライミングを続けています。

それでは一冊目。

・「ソロ」 単独登攀者・山野井泰史  丸山直樹 ★~★★

山野井泰史の半生を本人を含めた取材を通して著者の目でまとめ上げたドキュメンタリーです。
取材の開始が1996年、本書の発行が1998年で、当時、一般的にほとんど無名の山野井に着目したのは著者の慧眼だと思います。

内容は山野井の山との出会いから数々のエポック的クライミング、さらに、妻・妙子との出会い、奥多摩での二人の質素な生活までを掘り下げ、「死と隣り合わせの尖鋭的ソロクライミング」を突き進む山野井の人物像を描きだそうとしています。なぜ「極限のソロ」なのかと。

著者もクライミング経験者のようですが、自らの経験のスケール内で山野井を測ろうとし、測りきれない部分の落とし所を見失って、「山の善性に帰依している」などという抽象的な結論付けを行っているように思います。

終章あたりに山野井の優れた「品位」について語る部分があるのですが、著者の随所に現れる辛辣な表現には著者の「品性」をあまり感じられず、正直読後感は良くなかったですね。
辛辣が故にということではなく、その表現にわざとらしさが見え隠れしたからですが。

歯に衣着せぬ、すばすば物言う著述スタイルを身上としているのでしょうが、そのスタイルを踏襲することありきで吐かれた言説は山野井本人を理解する作業には何の助けにもなっていません。
普通思っても口に出さないような内容をわざわざ表現する必然性が全くないのです。

とは言え、山野井泰史とは何者なのかを知るにはおすすめできる一冊です。


ソロ―単独登攀者・山野井泰史ソロ―単独登攀者・山野井泰史
(1998/11)
丸山 直樹

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