不完全燃焼で終わった先週の山行に鬱々としていた時、山仲間のO氏に連絡すると週末にアルプスのどこかのピークを踏んでこようと考えているとのこと。
それならば、O氏新調のウェーディングシューズ(ソールはアクアステルス)の試しがてら沢登りはどうかとお誘いしました。
二つ返事でほいほいと乗ってきたO氏、
全く何も考えてないですね!全く嬉しいですね!
で、行き先ですが、
・3000m級のピークに突き上げること
・沢中でビバークできること
・山中一泊で行けること
・荷物が重くなりそうなので登攀要素のあまりない沢
から候補を選ぶことに。
南アルプス甲斐駒黄蓮谷、中央アルプス中御所谷、中央アルプス細尾沢と候補が挙がりました。
黄連谷は甲斐駒からの下りがしんどそう、中御所谷はビバークして登る沢でない…
ということから、細尾沢に決定!
細尾沢?よく知りません…
ネットで調べると木曽駒ケ岳(2956m)に突き上げるようですが、やれアプローチのゴーロ歩きにうんざりとか、倒木で荒れた渓相とか、核心部があっという間に終わっちゃったとか、何ともぱっとしない話ばかり。
でも良いのです。今回のメインイベントは沢中でのビバークで、
焚火を囲んで日本の将来を語ろう!ということですから。
日程は変則的休みの26日、27日に決行となりました。はてさてどうなることやら…
8月26日(日)
早朝5時に京都出発、一路木曽駒高原スキー場に向かいます。
前日はネットで
エロサイトサーフィン調べ物していて寝たのは2時半、ほとんど寝てないけど、やけにハイテンション、先が思いやられます。
4時間かけてやっとスキー場跡に到着。準備を済ませて9時半出発です。
天気は快晴!絶対的沢登り日和は日頃の行いの良さがうかがえます。

しばらく林道を進むと福島Bコースの登山口を過ぎて幸の川の橋を渡ります。

その先10分ほどで写真のような立派な道標が。沢登りコースって地図にのっていないけど何なんでしょう?
ローマ字で「Sawanobori」って書いてあるけど外人さんには分からんとおもうけど…

と突っ込みを入れつつ、沢登りコースへ。
踏み跡の左手には正沢川が流れています。踏み跡が怪しくなってきたあたりから入渓。

しかし、暑い!このピッチ後半から滝のような汗。心臓はバクバクするし、ペースも上がらない。
典型的なバテの症状です。おいおい、まだ1ピッチ目やん。
1時間歩いたとこで休憩。O氏曰く、顔が真っ青になっていたらしい。
2ピッチ目も汗は噴き出すばかり、足は進まず四つん這いでゴーロを越えていく。

30分程進んだところでO氏が「中止して戻る?」と心配顔で声をかけてくれます。
「うん」と可愛くうなずきたいところをぐっと我慢して、「大丈夫やし。もうちょっと様子見るわ」と応え、スニッカーズと塩飴と水分を大量補給。
3ピッチ目になるとようやく汗もかかなくなり、調子が戻ってくる。
さっきまでのバテは何だったのだろう。遅くまでの
エロサイトサーフィン調べ物がたたったのかも…
まだまだ正沢川のゴーロは続きます。

そんなこんなで4時間、右岸から写真のさみだれ滝が流れ込んでくれば間もなく細尾沢の出合いです。

やっと細尾沢出合。長かった~!確かに細尾沢は倒木が目立ちなんかぱっとしない渓相です。
写真右手の沢が細尾沢。

やっとこさスタートラインですね。この頃には体調は完全復活しました。

細尾沢で最初に出迎えてくれるのが5m滑滝です。ここは右岸を登ります。

ところで、今回は二人ともアクアステルスソールのウェーディングシューズなのですが、この沢の濃い黄土色の苔には全くグリップが効きません。
薄黄色の苔や乾いた岩には吸いついてくれるのですが…
ということで、苔の色を見ながらステップを選ぶ必要がありました。
滑滝を越えてしばらく進むと、本日のハイライト、細尾大滝40mのお出ましです。

細尾大滝の両岸は垂壁で直登はどこかの命知らずに任すとして、さっさと高巻きします。

高巻きルートは何種類かあるらしいのですが、大滝左岸にあるルンゼを登り、不安定な垂壁をトラバースしさらに尾根を高巻いて沢に戻るというのが一般的?なようです。
まぁ、出たとこ勝負でルンゼに取りつきます。

ルンゼから垂壁のトラバース。ここでロープを出しました。

トラバース後、さらにトラバースする踏み跡もありますが、先が厳しそうなので、ぐずぐずのルンゼを1ピッチ登ります。
ようやく沢床が見えたので2ピッチのトラバースで大滝の2段目の上に降り立ちました。
偵察したりなんやかんだでこの高巻きに1時間かかったというのは企業秘密なので内緒ですよ!
大滝2段目の落ち口から

もう5時前なので、今日のサイト地を探さなければなりません。
大滝上はやさしい小粒の滝が連続します。


このひょんぐり滝4mを右から巻いたところに絶好のビバークポイントがありました。
ここなら雨で増水しても流される心配はありません。

早速、ホテル細尾の設営。簡単に整地してタープを張ります。

バテたり、復活したり、巻いたり、トラバったりの大忙しの一日だったので何はともあれディナーの準備。って私はラーメン、O氏はレトルトカレーですが。
でも塩分の抜けた体にラーメンのうまいこと!
細胞の隅々までラーメンの汁が行き渡ります。(どんな細胞やねん!)

そしていよいよメインイベントの焚き火です。
新聞紙を持ってきたのですが中々手強く、テーピングのテープを火種にしたりしてようやく着火。

下戸の私はコーヒーを、O氏はウイスキーをちびちび舐めながら、日本の将来を熱く語る…訳もなく、今日の山行や次の山行、昔の思い出話などに花が咲くのでした。
焚き火で濡れたものも体も心も温まり、なんとも優雅な気分に。
お金をかけなくてもこんな贅沢ができるなんて、山をやっていて本当に良かったとしみじみ思います。
永遠に続いて欲しい時間だけど、日々の暮らしがあってこそ際立つ時間なんだとも思う。
そしてホテル細尾(なんかラブホっぽいね…)の夜は更けてゆくのでした。

至福に包まれ眠りについた彼らを待ち受けるものは…
はたして駒ケ岳山頂に無事辿り着けるのか…
そして最後に待ち受ける落とし穴。
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