スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

おすすめの山岳図書 ~ノンフィクション編 その8

・空へ  ジョン・クラカワー ★★★

1996年5月、12人もの死者を出す遭難がエベレストで発生しました。

本書(原題:Into Thin Air)はエベレスト営業登山隊の実態をルポルタージュするために、たまたまニュージーランド人ガイドのロブ・ホープ公募登山隊に参加し、遭難から生還した著者が描き出した遭難記です。

このロブ・ホープ隊には日本人登山家の難波康子さんも参加しており、登頂後(田部井淳子さんに次ぐ日本人第二登)、行方不明となり、命を失いました。

この時のエベレストは公募登山隊の他、国家的プロジェクトの登山隊や単独のエクスペディション、映画の撮影隊などが登頂を目指しており、その登山計画は一歩かけ違えると破たんする綱渡りの様相を呈していました。

ロブ・ホープ隊への参加費用は当時のレートで780万円程で、ガイドは「顧客」との契約のもとに「登頂」を目指すことになります。一般の登山パーティ以上に「登頂」を意識せざるを得ない状況に置かれるのが公募登山だと思います。

遭難はパーティの分断から管理不能な各メンバーの独自の行動によって傷口を広げていきます。まるで単独行のようです。

経験も力量も異なる混成メンバーからなる公募登山では、一般の登山パーティー以上にメンバーの行動の自由を厳しくコントロールする必要があるのでしょう。そうしていれば避けられた遭難なのかもしれません。

しかし登頂出来ない場合の主催者の営業評価は…他のガイド登山遭難事例も含め考えさせられます

昨今のエベレスト公募登山を指して「フィックスロープの手すりが張り巡らされたハイキング」と揶揄する声もありますが、やはり8000mを越えた領域は「デス・ゾーン」であることは間違いありません。
この高所では有事に際して誰も救いの手を差し伸べる余裕はありません。

本書は遭難の当事者である著者が、その後に綿密な資料調査とインタビューを重ねて書き上げただけに、迫真に迫る描写の中に係わる人々の姿を見事に浮き彫りにしています。

寒い冬に読むと余計に凍えそうになりますが、営業登山、パーティーとは、登山の自己責任などを考えさせられる一冊です。

以前、おすすめの山岳小説にも挙げた笹本稜平の「帰るべき場所」も公募登山を題材としていますが、現実はあんなスーパーマンはいないということですね。

ちなみに私のブログのタイトル「Into Thin Air」は本書から頂戴しました。
単純に語感が良かったからで他意はありません。


空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)
(2000/12)
ジョン クラカワー

商品詳細を見る



ブログランキングに参加しています。
↓よろしければクリックを
にほんブログ村 アウトドアブログへ



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ひろろ

Author:ひろろ
Thrill‐Seeker
刺激が行動原則です。
クライミング、沢登り、ランニング、パラグライダー、音楽、アコギ、ロック、プログレ、画像処理、カラーサイエンス…京都からの発信です。

このブログはリンクフリーです。
どうぞご自由にリンクしてください。
連絡頂ければ相互リンク致します。

カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
Access Counter
リンク
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

最新トラックバック
日本ブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。